●あゆみ
D51 498号は1940(昭和15)年、兵庫県の国鉄鷹取工場にて製造されました。
岡山機関区で運用をスタートし、吹田、平、長岡第一、直江津、新津、坂町と多くの機関区を渡り歩いてきました。最後の配属は高崎第一機関区となり、1972(昭和47)年に八高線で運転された鉄道100周年の記念イベント列車を最後に、現役を引退しました。
しかし解体はまぬがれ、上越線の後閑駅構内に静態で展示保存されることになりました。
1987(昭和62)年に国鉄は分割民営化、旅客営業は6つの民営会社に分かれて再スタートを切る事になりました。
当時発足間も無い頃のJR東日本では、SLを復活させるプロジェクトが進んでおり、管内で保存されているSLを調査・検討した結果、保存状態が良く、なおかつ広く親しまれているということで、この498号機を復活させることが決まりました。
1988(昭和63)年3月、後閑駅から実に16年ぶりに本線に入線した同機は、高崎機関区へ回送、その後大宮工場で復元作業が行われ、同年11月には作業が完了しました。
そして12月23日、当時来日していたオリエント急行の牽引(上野→大宮)を務め、鮮烈な再デビューを果たしたのです。
その後は高崎〜水上間をベースに、群馬県内でさまざまなイベント・臨時列車を担当。
県外での運転実績も多く、翌89(平成元)年には早くも岩手まで遠征、釜石線で運転を行いました。以降も東北全県をはじめ甲信越・房総と活動範囲を広げ、現在では名実ともにJR東日本の看板車輌の一つとなっています。
2008年6月現在動態で保存されているD51は、当機と梅小路蒸気機関車館の200号機の2輌があります(※)が、200号機は車籍が無く運転は構内に限られるため、本線を走れるD51はこの498号機が唯一のものです。
※例外として、川場村の「ホテルSL」にある561号機が、圧縮空気により走行する事ができます。
●主なデータ
全長:19,730mm
全高:3,980mm
全幅:2,936mm
運転整備重量:約125t
動輪径:1,400mm
軸配置:1D1(ミカド型)
最高速度:85km/h
その他:
豪雪地帯を走る事が多いため、雪対策が強化されています。

(左=スノープラウ/右=旋回窓)